2014年12月25日木曜日

有職雛のご紹介(2)

(続き)

東籬のお人形は受注生産品。職人が手作りで仕上げています。

衣装は古来から伝わる装束の決まり「有職故実(ゆうそくこじつ)」に従った、
平安時代から続く正装です。いずれも有職文様(ゆうそくもんよう)が入っています。
有職文様の例。種類は沢山ありますが、地文の上に丸文を重ねるのがポピュラーなもののひとつです。


服装の規定は、現代でいうならドレスコードということになりましょうか。
官位職制などで着られる素材や種類、文様が細かく決められていました。

身近なところで言えば、地鎮祭などで神主さんが着る装束でも有職柄(神主用の色柄になります)は見ることができますし、テレビの歴史ドラマなど宮中に参内するシーンなどで目にしたことがあるはずです。

お人形の衣装素材は化繊(主にポリエステル)です。正絹(シルク)になると価格がグンと跳ね上がってしまうことも理由としてありますが、絹はカビや虫食いなどに弱く、保管・管理には非常に気を使わなければならず、和服を着る機会が少なくなった現代では、絹の取扱いに慣れていない方も多いと思われますので、身の回りにたくさんあって取扱いのしやすい素材ということで選びました。

ただし頭や芯材に天然素材を使っているパーツがありますので、全くメンテナンスフリーというわけではありませんが、市販の防虫剤でじゅうぶん対応可能です。カビ対策には乾燥剤をおすすめしております。

男雛は束帯と呼ばれる男性の正装。以下写真例は小十番(大きい方)です。



ベルトの部分は石帯と呼ばれます。背中の帯を止める役割もあります。飾りとして腰の部分の右側に「魚袋(ぎょたい)」、右側にメノウなどの石の飾りがついていましたが、これも再現しています。それぞれ種類やデザインは細かい決まりがあります。

前の部分に垂れ下がっているのは平緒。刀をとめる役割で、前に垂らす部分は別パーツになっています。お人形では京組紐を使っています。

女性は十二単。十二単とはいいますが、12枚も重ね着しているわけではなく(一時期重ねの枚数を競ったこともあったようです)、平安時代に襲(かさね)は五枚という決まりができてからは現代までそれが続いています。

袖と襟に幾重にもなった部分が見えますが、ここが襲になります。



襲(かさね)には「色目」という色の組み合わせがあり、たくさんの名前がついた組み合わせがあります。

東籬の有職雛では表着・唐衣の色に合わせて「皆紅(みなくれない)」「紅の匂い(くれないのにおい)」「紫の匂い(むらさきのにおい)」という色目を採用しています。

写真例の色目は「皆紅」。すべて紅色で統一しています。

お顔ですが、三五サイズと小十番ではお顔が異なります。
それぞれサイズに合わせたお顔ですので交換等はできません。



いずれもいわゆる「本頭(ほんがしら)」。石膏で型を取り、目や口を彫り出す製法で作られたものです。

次の写真は付属品の小道具です。


男雛用の冠、笏(しゃく)、刀、冠をとめる紐、女雛用の檜扇(ひおうぎ)が付属します。冠はプラスティック製。檜扇と笏は木製です。

以上がお人形の仕様となります。
次回以降は個別の商品について説明していこうと思います。